ハレルヤ

アスファルトのハレルヤのレビュー・感想・評価

アスファルト(2015年製作の映画)
4.0
フランスにある古びた団地。足を怪我した冴えない中年男と夜勤の看護師。ほぼ1人で日々を過ごす10代の少年と落ちぶれた女優。団地に不時着したアメリカ人宇宙飛行士と息子が服役中の移民の女性。3組の男女の人間模様を描いた群像劇。

これは予想以上の良作!団地を舞台に3組の男女の悲喜こもごもを捉えた内容で、どのエピソードも心が温まり、深く印象に残るものでした。

中年男と看護師のエピソードは不器用で情けないけど、男の純粋な気持ちがストレートに伝わる話。ラストは綺麗な形じゃなくてもグッとくるものがありました。

少年と女優は新たに隣人同士になったところから始まり、心機一転復活を狙う女優を手助けしようとする少年との交流が親子のようでもあるし、恋人のようでもあるのが面白い。その女優を演じているのがイザベル・ユペール。当時60歳そこそこなのにかなり若く見えたのは気のせい?そう思うくらい綺麗に見えましたね。

個人的にイチ押しだったのが宇宙飛行士と移民の女性の交流。普通に考えたら有り得ない設定の話ですが、脱出ポットが不時着した先で迎えが来るまで2日間過ごさないといけなくなったNASAの宇宙飛行士が転がり込んだ先はアラブ系のおばさん宅。

言葉が通じない2人ですが、それでも互いに徐々に心を通わせて本当の親子のような関係になる。全く嫌な気分にはならなかったですし、この交流をずっと見ていたいと思えるくらい幸せな気持ちになりましたね。ラストの別れは温かさしかない素晴らしいものでした。

この3つのエピソードが無駄に絡んだりすることも無く、自然な流れで見れますし、時にはユーモアを交えた作風も秀逸。肩肘張らずに見れる作品。気になる方は是非ご覧になってほしいと思います。
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