最初、マイケル・ピットが何かヤラかすのではと気が気じゃなかった
現に少しヤラかしたけど、笑
『入れ込んでるね』って貴方~結末は言っちゃダメよ~それは反則だよ~笑
でも移民のご婦人は最高に優しい
それにつられてマイケル・ピット演じる宇宙飛行士も、表情が柔らかく優しくなっちゃうね
『宇宙飛行士』そう!
何せ『墜ちてきた』んだから
宇宙から、この婦人の住むピカソ団地に!
その団地の屋上に『ドスン』と!
決して出逢わないであろう二人。
でも出逢った二人。
婦人の彼を見つめる眼がいい
彼が頬張る『クスクス』が幸せの食べ物に見えて仕方がない
宇宙はどんな感じ?婦人が聞く
『〈こう考えるのが好きなんだ〉
〈暗闇の後ろにはまぶしい光がある!〉ってね』
すべてを語りたくない婦人は歌をうたう
そこに彼の優しい歌ごえが呼応する
別れ際には…この余韻
良いよね~『クスクス』持たせてもらえて…
団地がらみの三組の出逢いのお話
二つ目は、イザベル・ユペール
彼女も団地に堕ちてきた
他者の生活を感じる団地ならでは
息子ほども歳の離れた隣人の少年と出逢う
少年はジュール・ベンシュトリ。中性的な美しさを醸し出すこの役者さんは、映画初出演の監督の息子さんらしい
彼が名女優イザベル・ユペールと互角に渡り合うんだから
いやいや、ストーリーのなかでは、彼女の常識を笑い飛ばし、打ち砕く、見事な演出家になるんだから
違う価値観『舞台に上がれば…』
『私のサングラス 私の映画 私 私』いつも貴女はそうだね
カメラを向けてる彼の目線で彼女を感じれば、撮り終えた時の彼の表情に、また何かを感じる
そうか…キミはそれが足りなかったのか…
三つ目も、最高にロマンチック
マシーンに翻弄される男、販売機に笑かされたり(私たちが、笑)、途中ゾンビを観てる気になったり、いろんな寄り道はするけど、それは着地までのエピローグ
恋に落ちるってどんな感覚?
ほら、いま彼女笑ったよ!
無機質のなかの有機質を沢山感じて、あったまる
語らない美学。この映画はまさにそう。
優しいよ。