ミーミミ

アスファルトのミーミミのレビュー・感想・評価

アスファルト(2015年製作の映画)
4.1
最初、マイケル・ピットが何かヤラかすのではと気が気じゃなかった

現に少しヤラかしたけど、笑

『入れ込んでるね』って貴方~結末は言っちゃダメよ~それは反則だよ~笑

でも移民のご婦人は最高に優しい

それにつられてマイケル・ピット演じる宇宙飛行士も、表情が柔らかく優しくなっちゃうね

『宇宙飛行士』そう!

何せ『墜ちてきた』んだから
宇宙から、この婦人の住むピカソ団地に!
その団地の屋上に『ドスン』と!



決して出逢わないであろう二人。
でも出逢った二人。

婦人の彼を見つめる眼がいい

彼が頬張る『クスクス』が幸せの食べ物に見えて仕方がない


宇宙はどんな感じ?婦人が聞く

『〈こう考えるのが好きなんだ〉
〈暗闇の後ろにはまぶしい光がある!〉ってね』


すべてを語りたくない婦人は歌をうたう
そこに彼の優しい歌ごえが呼応する


別れ際には…この余韻
良いよね~『クスクス』持たせてもらえて…



団地がらみの三組の出逢いのお話



二つ目は、イザベル・ユペール

彼女も団地に堕ちてきた

他者の生活を感じる団地ならでは
息子ほども歳の離れた隣人の少年と出逢う

少年はジュール・ベンシュトリ。中性的な美しさを醸し出すこの役者さんは、映画初出演の監督の息子さんらしい

彼が名女優イザベル・ユペールと互角に渡り合うんだから

いやいや、ストーリーのなかでは、彼女の常識を笑い飛ばし、打ち砕く、見事な演出家になるんだから

違う価値観『舞台に上がれば…』

『私のサングラス 私の映画 私 私』いつも貴女はそうだね



カメラを向けてる彼の目線で彼女を感じれば、撮り終えた時の彼の表情に、また何かを感じる

そうか…キミはそれが足りなかったのか…




三つ目も、最高にロマンチック

マシーンに翻弄される男、販売機に笑かされたり(私たちが、笑)、途中ゾンビを観てる気になったり、いろんな寄り道はするけど、それは着地までのエピローグ

恋に落ちるってどんな感覚?

ほら、いま彼女笑ったよ!





無機質のなかの有機質を沢山感じて、あったまる


語らない美学。この映画はまさにそう。

優しいよ。
ミーミミ

ミーミミ