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サイドウェイのmerrydeerのレビュー・感想・評価

サイドウェイ(2004年製作の映画)
3.3
軽妙なテンポで進展するシナリオとタイプが違う主役コンビの軽快なやりとりで魅せるコミカルな雰囲気に包まれて大枠としては楽しく鑑賞できて、カリフォルニアの美しい風景にも引き込まれる魅力的なロードムービー。
…ではありつつ、一つの挫折(本作の場合主役マイルスの離婚)から上手く立ち直れず、思うように状況が好転することもない切なさがポール・ジアマッティの見事なしょぼくれ演技も相まって、奇妙なほど胸を締め付けてくる。

重々しい絶望感や失望感ばかりが流れている訳ではなく、何なら最後には前向きな気持ちになれる仕上がりのはずなのに、要所要所の虚しさを覚えるシークエンスが絶妙に生々しく、何だか自分の立ち入って欲しくない領域に踏み込まれているようで、結構キツい  笑

本能で生きるもう一人の主役ジャック(トーマス・ヘイデン・チャーチ演)よりは、トラウマを抱えがちで中々次の一歩を踏み出せないマイルスに近い向きには「止めてくれ その展開は俺に効く」となり得る実は鋭利な危うさを持った作品…って書いてて虚しくなってる。
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