穂苅太郎

サイドウェイの穂苅太郎のレビュー・感想・評価

サイドウェイ(2004年製作の映画)
3.5
評価がとても難しい。映画としてはとてもよくできているが、主人公に共感する点がかけらも見つからなかった。現実も含め、これまで見た中で人生最低のクズ男だったからだ。
まず醜い小太りでハゲ、口も臭そうだ。まあそれは良い。人間中身だ。だが女たらしの過去の小さな栄華にしがみ付く、小金持ちのこれまた通常作ならクズキャラ認定の相棒の、さらに上を行く自己愛過多、自己中心的、思いやりの欠けたひどい人間だ。まあそれも良いだろう、こいつは小説家(志望)だ。才能が有りさえすればいいのだ。ところがワインの味覚音痴知ったかぶりといい、美人で知性にあふれたヒロインのあまりにわかりやすい心情をワインに喩えた話も理解できず、人の心を理解しない数々の行動はその才能さえもかけていることが現実的にも心情的にも次々と起こる。当然だ。そんな人間洞察力や文章理解力が希薄で小説なぞ書けるものか。すべて自業自得であり、ただただざまあみろ!としか思えない。ラストシーンも悪い方になっていますようにと願ったくらいだ。・・・いや待てよ。冷静になってみれば、これはある意味狙いなのかもしれない。監督の仕掛けた罠にまんまとはまって思惑通りに大いにこの茶番を楽しまされたのかもしれない。とすればとんでもない大傑作だ。確かにかなり笑えたし!
穂苅太郎

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