トムトム

リトル・マーメイドのトムトムのレビュー・感想・評価

リトル・マーメイド(2023年製作の映画)
2.5
作品の外の部分で語られすぎた作品。

個人的にはアリエルの配役は全然アリだと思います。

確かに他国の童話や伝説をカスタマイズして自分のとこのキャラクターでございとするディズニーのやり口は「シュレック」で揶揄された通り反感はあります。

しかもそれを「これは現代的でないね。」と勝手にアップデートするのもどうかとは思いますよ。

しかし、そいうディズニーのやり口への心情的な反感は置いておいて今作で主役を黒人に変更するのは全然ありだと思います。

もちろん過去に遡って「昔のアニメ版も黒人に変更します。」だったら全然ナシですが。

日本人でこの問題に怒っている人が多いのが意外でした。
物語やキャラクターの魔改造って日本のお手のものというか真骨頂だと思っていましたし。

結構ガチ目で怒られている三蔵法師を女優が演じるお約束もどこ吹く風ですし、Fateのゲームやアニメに至っては完全に女性にしてました。

と、前置きが長くなりました。

映画の感想はビミョー。

主役のハリー・ベイリーの歌唱力は見事です。

ストーリーは驚くほどオリジナルに準拠しています。
ラストにアースラを倒すのが王子からアリエルに変更されている部分くらいが大きな変更でしょうか。

それならそれでちょっと上映時間が長すぎます。

しかしディズニーが言っている「アップデート」部分がことごとくダメというか薄っぺらい。

トリトン王の娘達を「現代的に各種人種を取り揃えました。」とやっているのですが逆にトリトン王が世界各国で子供作をりまくっている「聖闘士星矢」の城戸光政みたいになっています。
人種的平等を達成した代わりに一夫多妻制OKみたいになっています。

ディズニー伝統のディズニープリンセスというのが女性の自立や生まれついた属性からの解放を描こうとする近年の作品とと合わなくなってきています。

主人公が「豊かな暮らしを捨てても自由に生きたいわ。」と高らかに歌われてもなんだかなぁという感じですし。

プリンセスということは王政なんですが近年の作品はこの王政をどう表現するかめちゃめちゃ苦労しています。

今作のカリブ海風の王国はいいんですが難破船から流れ着いた素性もわからない子供を王子にして、素性もわからない女性と結婚させて王位を継がすってどういう王国やねん。

スカットルが登場すぐに小魚を食べますが、コレはセーフでフレンダーとアリエルを食べようとするサメは悪役っぽいと言うのもモヤるというか。

ビジュアルをリアルに寄せすぎたため実写版「ライオンキング」でも感じた欺瞞を感じてしまいます。

ラストもさあ、アリエルは人魚のままでエリックと世界へ冒険に出たらいいじゃないですが。

全編、近年の社会問題に対してアップデートしていますよという体ですが全部薄っぺらいというか上部だけという感じがします。

もっとストーリー自体に大鉈を振るった方が良かったと思います。

あと画面が暗すぎる。
IMAXで見たら違ったのかもしれませんがアリエルが海から顔を出して花火を見るシーンなんて「地獄の黙示録」みたいになってました。

ディズニーは確実にアレでしょ。
自由を求めたが成し遂げられず囚われた女性を描くと言ってポッチャリ系女優使って「アースラ」作る気でしょ。
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