なちゅん

ブラック・スワンのなちゅんのレビュー・感想・評価

ブラック・スワン(2010年製作の映画)
4.1
自分との闘い、と言うと陳腐になってしまうような、壮絶な格闘。
役の重圧ももちろんだけど、自分が一番「お前なんかに務まるわけがない」と思っているからこそ自分を追い込んでしまうのね。

憧れのプリマや、ライバルの目線、のしあがってきた後輩の接近。ニナからすれば全てが悪意に満ちていて、鏡の中の自分すら脅威になるけれど、それはそのまま自分が他者に発していたものだったのかもしれない。自信のなさと不安から悪意を自分のみならず外にまで向けていたのかもしれない。
とはいえその元凶はママにあるんじゃないかとも思う。ニナをプリマにすべく、狂ったように愛する。愛するあまり、娘の全てを支配する。これは怖い。

自分の中の黒鳥を殺すことで、本物のプリマ、本物の白鳥の女王と黒鳥になったニナが狂気と執念と満足感に満ちていて、ナタリー・ポートマンの体を張った迫真の演技と合わせて、美しいだけじゃないperfectionを見た。
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