ハレルヤ

婚約者の友人のハレルヤのレビュー・感想・評価

婚約者の友人(2016年製作の映画)
3.8
第1次世界大戦直後のドイツ。婚約者のフランツが戦死して彼の両親と共に悲しみに暮れるアンナ。彼の墓の前で号泣する男性と出会い、フランツの友人だったというアドリアンと交流を深める。しかし彼はある秘密を抱えていて、アンナにそれを明かそうとする戦争ドラマ。

フランソワ・オゾン監督作品。ピエール・ニネ、パウラ・ベーア主演。戦争がもたらす悲劇を1組の男女の交流を中心に捉えています。

戦争を背景にしたヒューマンドラマでありながら、アドリアンが抱える秘密についてのミステリー要素も含んでいて見応えのある113分。

ほぼ全編モノクロでクラシック映画のような雰囲気。途中少しとラストでカラーパートが表れますが、その出し方とタイミングがまた秀逸。フランソワ・オゾンの演出力が光っていたと感じましたね。

戦争で生き残った人々の苦悩。それは当人にしか分からないもの。でもそんな人生でも一番と言っていい苦しい時を乗り越えた。これからは幸せを目指して生きていくべき。劇中でもあった台詞で「死は戦争だけで十分だ」がそのメッセージを端的に表していると思いました。

地味で明るくない作風ではありますが、フランス映画ならではの上品さを纏った作品。アンナとアドリアンたちの姿を通じて反戦への強い投げかけが感じられるでしょう。
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