晴海通り

婚約者の友人の晴海通りのレビュー・感想・評価

婚約者の友人(2016年製作の映画)
3.8
嘘の色…

ピエール・ニネのビジュアルがこの映画の7割を占める。繊細で、我儘で、勝手で、どうしようもなく絵になる…大きな損失の中にいながら、どうしてもそれに抗えないアンナ。

オゾン監督は物語の2面性がやはり上手い。ドイツ/フランスが負った悲劇は、勝敗とはまた別に全く表裏一体。個人の死やその家族の傷はなおのこと。その傷を埋めるように出会った2人の若い男女。そう、この映画のもうひとつのキーは“若さ”。若さゆえの勢いと、不器用な瑞々しさ。

戦死した婚約者フランツと、そしてアドリアンからも「幸せになって」と言葉を送られたアンナの“幸せ”とはなんなのか。あの絵とラストのセリフ、そして色。それが示す結末はひとつでしょう。しかし原題はなんで『フランツ』なのかな。
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