ShotaSuchi

冷たい熱帯魚のShotaSuchiのレビュー・感想・評価

冷たい熱帯魚(2010年製作の映画)
3.9
圧倒的人間観察力で人と人の関係を見抜き、男・女・家族としての不足感を見抜き、自信の無さを見抜き、そこに土足で踏み込み、優しく慰め、踏みにじり、報酬を見せつけ、直接的・間接的暴力を織り交ぜ、服従させ、支配する。洗脳。

程度の差はあれ人を支配する人には一種の魅力があり、その力を正しく発揮する人はビジネスやスポーツにおけるリーダーやカリスマになるのだろう。一方、極端に捻じ曲がった悪にこの力が備わると、この映画の村田(でんでん)のようになるのかもしれない。


映画は極端な暴力表現、性描写で嫌悪感を催すこと必至だがしかし、この映画の本当の不愉快の核心は、支配される社本家の不足感に妙な現実味があり、観ながらに不安を覚える点にある。自分は自分の好きな人を幸せに出来ているのか、男(女)として成功しているのか、幸せなのか。

自分の足で立ったことがあるか。

不愉快なんだけど、傑作。
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