ShotaSuchi

マンチェスター・バイ・ザ・シーのShotaSuchiのレビュー・感想・評価

3.4
ただただ良い映画。
リーは顔も良く一見礼儀正しい感じもするが、話してみると無愛想だし余所余所しい。一線を越えると相手を貶し、最悪突然絡んで殴りだす。

なぜか。
リーには抑圧している部分があるから。それは自責の念に始まり、甘んじて他者からの罵詈雑言や不当な仕打ちを罰として受け入れ続けてきたから。
自分を責め続け、自分に心を開けない人は、他者にも心を開かない。

自分やお兄さんの奥さんとは各々夫婦で色々あっただろうにそこをゴリゴリ掘り起こすのでは無しに、今と昔をちょっとずつ織り交ぜて進行するスタイルはわかりにくさもありながら、どこか優しさを覚えるような構成で結果としてこれ以外の技法だときっとチープな出来栄えになってたと思う。

リーの痛みそのものを説明する箇所はほとんどないけど、具体的な出来事と、それを補完するような過去現在の周囲の人の様々な反応からリーの痛みを想像し、その痛みがパトリックとの未来に影を落とすのか、あるいは痛みを再解釈し違う未来を踏み出すのか。
そんなことに思いを馳せて過ごす2時間。

そして、ドラマチックな展開ではなく、ただただゆっくり静かに、時に激昂し、でもまた静かに、後悔しながら自分の痛みに向き合う。そんな2時間。
ShotaSuchi

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