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C.R.A.Z.Y.のSPNminacoのレビュー・感想・評価

C.R.A.Z.Y.(2005年製作の映画)
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イエス様と同じ日に生まれ、特別な才能を授かったとされるザック。「男らしい」父親と男5人兄弟に囲まれ、無理解や偏見に晒されながら自分のアイデンティティを確立する長い旅。ややコメディ寄りでややファンタジックな寓話であり、神と信仰篤い母の加護のもと、行きて帰りし”オデュッセイア”である。父にとっての神はパッツィ・クライン、ザックにとってもう一人の神はデヴィッド・ボウイ。
息子のセクシャリティとそれを認めない父の紆余曲折を中心としつつ、長いスパンで描くのは家族史だった。陽気だったり支配的だったりする父親は当時の典型的オヤジ像なんだけど、演じたミシェル・コーテに味というか憎みきれない愛嬌があり、単純な対立関係ではない。同様に、兄弟も仲は悪いけど一人じゃない。最後にわかるタイトルの意味!
ザックの祈りが叶えられないのは、実のところ彼が「特別」じゃなくて、自分を変える必要がないからだ。兄弟も各々濃いキャラクターだし、みんなが厄介。どんなに矯正しようとしてもそれが変わることはない。喜劇も悲劇も含めて、なんだかんだでクリスマス兼誕生日は毎年ある。
ちょっとクドくて長かったけど、時代ごと変遷するルックスやママがアイロンで焼くトーストが良かった。ジャン=マルク・ヴァレは神の奇跡より人にある情けみたいなもの(プレゼント)を信じるのだろう。
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