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バービーのSPNminacoのレビュー・感想・評価

バービー(2023年製作の映画)
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すべてのバービーとケンとアランに。どんな女性もエンパワーメントする使命を負ったバービーの、行きて帰りし冒険の旅。作られた女性性と作られた男性性、作り手売り手持ち主、定番とは何なのか、誰によって何のためにどう作られたのか?モノリスとは?を問い直す宇宙の旅。
基本的に『LEGOムービー』と被りまくってて(ウィル・フェレルも出てるし)、そのせいで新鮮味が感じられなかった。同じくアイデンティティを獲得した先にそうくるか!のオチがあるけど、LEGOにあった破壊的カタルシスに比べて、実写映画のスケールだとリアリティの加減が難しい。ポップなパステルカラーのバービーランドから現実世界へ切り替わっても、絵的にその落差がさほどなく、人形と人間どちらも同じくらいキッチュ。
いやスーツ男性が並んだマテル社は既視感ありありのグロテスクな構図そのものだし、それがバービーランドに反転するのもわかりやすい。ただ、現実風刺に説得力があっても、それをバービーでやろうとすることで結果的に回りくどいというか。アメリカ・フェラーラのキャラクターも単に説明解説役になってて勿体ないし、台詞(殆どスピーチ)でこんなに説明するのか…と驚いちゃった(バービーの対象年齢向けだと思えばいいのかな?)。
ケンのマスキュリニティ解体解放の旅は一番面白くて意義があるし、コインの裏表で切り離せないものだ。最もインパクトと華があるのもライアン・ゴズリングとケンズのミュージカルなんで、最初からキャンプなミュージカル映画として舞台をランド内に収めてくれてもよかった。または「現実に生きるリカちゃん」みたいなのを…そうじゃないのもわかるけど…うーん、色々飲み下しにくい映画だったな。劇中の映画ネタのギャグは滑ってたし…。
けど、演者としてのグレタ・ガーウィグって持て余した身体が最大の持ち味なわけで、その点でバービーを監督するに相応しかったかもしんない。『レディバード』のシアーシャがそうだったように、「すべて諦めると人形になる」ときのマーゴット・ロビーの身体がグレタ化してたもん。
しかし、まさかロブ・ブライドンが出てくるとは!
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