いち麦

レモニー・スニケットの世にも不幸せな物語のいち麦のレビュー・感想・評価

5.0
冒頭に何度も観客に視聴を断念させようと持ち掛ける演出は印象深い。人気の児童文学が原作だけあってか、おどろおどろしい不気味な世界で健闘する三兄弟の物語はミステリー要素も加わり見応え感たっぷり。特に原作3話分の連続展開がテンポ良い。今見直してみると当時のCGは不精巧に見えてしまうが逆に絵本やアニメのような手作り感があってとても良い味わい。
オラフ伯爵の鉤鼻老けメイクはJ.キャリー持ち前の意地悪演技に上手く融合している。さらに彼が変装したイタリア人ステファーノとシャム船長の2役も作り込んでいる。特にステファーノは「マン・オン・ザ・ムーン」登場のトニー・クリフトンをベースにした喋り方で独特の人物像が新鮮だった。M.ストリープが故意のオーバー・アクトで作るジョセフィーンおばさんのキャラクターも見どころ。
トーマス・ニューマンの音楽も素晴らしくて、Op早々の陽気なフェイク曲〜“Lovely Spring”と影絵のようなアニメーションのエンド・タイトル曲〜“Drive Away”のセンス良さにも惹かれる。大のお気に入り作品。
いち麦

いち麦