南森まち

海は燃えている イタリア最南端の小さな島の南森まちのレビュー・感想・評価

2.8
イタリアとアフリカの間にある小島、ランペドゥーサ。難民たちの決死行と島民の日常を描くドキュメンタリー。

管制「乗船人数は?」船「250人だ!」
管制「位置は?」船「助けてくれ」
管制「位置は?」船「ああ、神様…」
で、通信が切れる所から始まる。

この作品では、地元の家族の日常生活と、命がけで海を渡ったアフリカからの難民たちの視点が交互に描かれている。

ナイジェリア、コートジボワール、リビアなどの貧困や政情不安に苦しむ国から800~2000ドル程度で小船にギュウギュウ詰めの漂流状態でやってくる難民たち。
救出されるときには、亡くなっていたり、脱水状態で重体になっていたりすることも多い。

難民たちの言葉はもちろん、病人や遺体を運ぶ大作業の様子や、治療・検視にあたる医師の言葉は悲痛だ。

ただ映画としては、島民と難民の交差が描かれないため、島民の映像は観客の息抜きにしかなっていなかった。
漁業で平和だった島は、難民問題の最前線に変わった。これから彼らの生活も変わっていくのかもしれない。