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未来よ こんにちはのAPlaceInTheSunのレビュー・感想・評価

未来よ こんにちは(2016年製作の映画)
3.7
主人公は中年女性のナタリー(イザベル・ユペール)、舞台はフランス、パリ。
哲学を教える高校教師として着実にキャリアを重ねルだけでなく、執筆活動に置いても教科書を出版して一定の評価を得ていた。
私生活では哲学者のハインツ(アンドレ・マルコン)と結婚し、二人の子供達は独り立ちするまでに育てあげた。一人で暮らす母(エディット・スコブ)の介護に追われながらも充実した日々だが…。

最初から最後までイザベル・ユペールを余すことなく堪能できる、知的で自立した中年女性の悲哀を描くスケッチ。脚本は監督のミアハンセンラブがユペールに当て書きしたとか。

順調に思えた人生もいつ綻びが出るかわからない。
夫からは突然、好きな女性が出来たと別れを告げられる。
厄介に思っていた母親が亡くなり、ようやく心配の種が減るはずなのに。

家族や生活の煩わしさから開放され自由を得たはずなのに、この世の何処にもすっぽりはまる居場所ないような寂しさ。
人生のままならなさ。

評判良い「ベルイマン島にて」を鑑賞する前に、ミアハンセンラブ作品を観てみた。
ジャン・ジャック・ルソー、パスカルなどの著作に、フランクフルト学派などの哲学用語が多数使われるヨーロッパのインテリ層が好みそうな作風。
フランスの高校哲学の授業の日本との違いが面白い。ルソーの『社会契約論』の一節を引いて生徒同士で討論させたり、屋外で風景画をスケッチさせたり。
そりゃ深い思考や論説に強い国民が生まれる訳だ。
冒頭のシーンは高校の校舎内でデモをやってて、デモ賛同派と反対派が激しくやり合う、自己の確立
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