このレビューはネタバレを含みます
it followsを見てたので、続けて本作も視聴。
全編通して何か怖いと感じさせられることは特になかった。
自分が属する居場所から蔑ろにされたり拒絶されてゆく中で人は反社会性を助長させて最後には怪物にたどり着くんだろう。
本作のキーパーソンである兄がどのような経緯で殺人に手を染めるようになったのかは直接描かれていないが、恐らく弟の身に起きたことと似たようなことがあったんだろう。
そして父に対する反抗っぷりからも、家庭の影響は甚大であったに違いない。
しかし、本作を通じて本当の狂気に染まった兄の殺人の動機の純粋性にはどこか悲しいものを感じてしまった。
全ては弟の為と考えることで彼は狂気を精神の支配下に置いていたんだろうか。
また、多感な時期にいる子どもに対する大人の言葉遣いは実に難しいものだ。
あの黒人の先生は何も間違ったことは言っていないけども、マーティーの心には何も響いてはいなかった。
暴力を認めてはいけなくても、自分の身を守るためにそれを行使せざるを得ない局面があることは大人が一番理解してるはずだ。
しかし、それが安易に行使されてはいけないことを、マーシーにはうまく分からせてあげるべきだったんじゃないだろうか。
それにしてもこの作品の音楽はずっと悲しい調子で続いていた。
結局弟のために狂気を殺人にまで押し上げた兄の切なさを表現したかったのだろうか。
ぼーっと見ている中でいろんなことを考えさせられた。