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インディ・ジョーンズと運命のダイヤルのTKEのネタバレレビュー・内容・結末

4.0

このレビューはネタバレを含みます

ハリソン・フォード主演のザ・冒険活劇「インディ・ジョーンズ」シリーズ5作目。
前作から15年、御年80歳となるハリソン・フォードのシリーズ最終作となる今作ですが、初期から見ている身としては非常に感慨深く面白かったです!

ただ、昨今のど派手なアクションやCGに慣れている方々は物足りなさを感じるかもしれません。


以下、ネタバレあります。

時は1944年、考古学者のインディ・ジョーンズは友人の考古学者バジルと共にナチスが略奪した「ロンギヌスの槍」を奪還する最中、ナチスの科学者フォローが見つけていた秘宝「アンティキティラのダイヤル」の一部を手に入れる。

時は流れ1969年、大学で考古学を教えるインディだったが、生徒たちは月面着陸に成功したアポロを称えろくに授業を聞いていない中、定年退職を迎えていた。
妻とも離婚協議中で孤独に過ごしていたところへバジルの娘のヘレナがやってくる。

ヘレナはかつて父が研究し、その後インディが隠し持っていたダイヤルを盗み出して逃げてしまい、インディはナチスの残党と共にダイヤルを取り返すべく動き始めたフォローに襲われてしまう。

ナチスに殺されてしまった同僚たちの重要参考人として指名手配されてしまったインディだったが、友人のサラーの助力も得てヘレナの後を追いかけるのだった。


かつての仲間たちが同窓会のように次々と出演する今作は、まさに最終章と呼ぶにふさわしかったです。

ただ残念なことに、前作にて登場した息子は今作では戦争によってすでに亡くなっており、それがきっかけで妻とも別れる寸前となっております。
出演できなかったシャイア・ラブーフの扱いをうまく処理したな、と思いました。

全体的に「原点回帰」という印象が強く、前作の「それはやっちゃいけないだろ…」というSF設定は控えめになっています。
…とはいっても、今作も最後の最後はSF作品なのですが、あくまで「超常現象を利用」しており、誰かが時空操作をしたり、それこそ宇宙人が出てきたりとはならないのでご安心下さい。


インディ・ジョーンズといえば洞窟探検がイメージされると思うのですが、今作は町中でのカーチェイス、海底、空…と近年他作品に負けず劣らず色々なところを飛び回ります。
…が、その反動なのか、洞窟探検はやや物足りないものになってしまった感はありました。

大きなギミックといえば隠し通路を見つけるくらいで、壁が迫ったり谷底に落とされたりと、直接命に関わるようなトラップは無かったです。
「メタンが充満している!」と言いつつ何も無かったのには本当に驚きました。絶対に爆発炎上すると思っていたのに、なんの前フリだったのでしょうか?

そもそも、入口が「なんで今まで見つからなかったの?」というくらい簡素すぎて、さすがにそれは…。

ただ、今作の見せ所は探検が一通り終わり、ダイヤルが真の力を発揮するところからになります。


結論を言うと、アンティキティラのダイヤルは紀元前の天才科学者アルキメデスが作ったもので、フォローはこのダイヤルを完全にすることで過去に戻る時空の裂け目の場所が分かると確信していました。
彼の目的は「過去に戻りヒトラーを殺しナチスを勝利に導くこと」だったわけですが、なんとダイヤルは自動的にアルキメデスがいる時代に行くように設定されていました。

インディ・ジョーンズが尊敬してやまなかった歴史上の人物と出会い、まさに「夢のようだ」と語り、元の時代に戻らず全てを捨ててこの時代に残る!というのは感慨深いものがありました。
まあ、結局それは許されるはずがないのですけど。


この辺りの伏線が分かりやすすぎるくらい途中に差し込まれているのですが、もう少し上手い見せ方あったんじゃないかな…とは思いました。

ダイヤルはアルキメデスによって意図的に分解されていたのですが、そのパーツにたどり着くために色々と暗号めいた事が書かれつつ、それはフェイクで…と分かりやすいようで分かりづらく、それでいてその偽の暗号に導かれて…といった展開も特にないので、正直無駄に思いました。
暗号が2重の意味になっているとか、もっとパズル的なものにすればいいのに、なんでそこは拘らなかったのでしょうか?

また、敵であるフォローの詰めが甘すぎると感じました。
なんで捕まえたインディをずっと生かしているのか分かりませんでした。偉業を見せつけたかったのかな?
敵がヘッポコすぎると緊張感が欠けてしまうのでいけませんね。登場時の部下達がヤバすぎてドキドキできたのですが、後半まで持続しなかったのは残念でした。

主演のハリソン・フォードも年齢を考えれば相当頑張ってはいますが、さすがに殴り合ったり駆け回ったり飛び回ったりというのは出来ないようで、醍醐味のアクションシーンが少なめだったのも悲しいところでした。

あと、字幕版で見たのですが、ところどころ解釈が違うような気もしました。
前後の文脈が繋がらず「?」となるところも多かったので、吹替版でも見てみたいと思います。


…とはいえ、やはり王道的な冒険活劇物としては及第点以上です(思い出補正込)。
昨今のアクション映画と比べると地味かもしれませんが、こういった古き良き作品も評価されるべきだと思います。

個人的には今作のヒロインであるヘレナが研究に没頭していた父に反発して金に執着するようになった、とは言いつつも作中インディに「金のために父親の資料を全部丸暗記したのか?」と指摘されるように、父に対しての憧れや尊敬、追い求めた夢を叶えてあげたい…という気持ちを捨てきれていないところが明言されずとも見え隠れするところにグッと来ました。

様々なタイプの考古学者が主演の映画が作られましたが、イメージ的にもキャラクタ的にもインディ・ジョーンズを越えるものは未だに出て来ていないと思っています。

シリーズは続くようですが、果たしてハリソン・フォードを超える逸材は現れるのでしょうか?

何はともあれ、ハリソン・フォード氏は長い間お疲れ様でした!
TKE

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