かもめ

3月のライオン 前編のかもめのレビュー・感想・評価

3月のライオン 前編(2017年製作の映画)
3.5
※長文駄文レビュー。

『全員片想い逆走ラブストーリー』
とは、羽海野の名作、ハチミツとクローバーのキャッチコピーである。
このコピーが、この物語にも何となく通じるものがあるように感じるのは私だけだろうか。
この物語における片想い、というのは、鈍感だから、であったり、嫉妬してるから、であったり、内包する感情は、恋愛とは違うのだけれど。

そう、私はハチクロにどハマりした者です。3月のライオンは単行本化を待ってチェックしたものだ。…が。
実は1巻しか読んでない。あと特典目当てで何巻だか買ったけど、読んでないw
アニメは少し観た。二階堂がにゃー将棋を教える回、香子さんが押し掛けてくる回(君は優しいからわざと負けるんじゃ、ってとこ)、島田研究会に入った回、あたり。

やっぱりここ最近映画をはじめとする物語に思うことは、“感情移入できるか”である。
ハチクロも途中からシリアスパートが入ってくるけれど、この話はもともと全体的に暗いし重い。過去に陰があるひとが多いから、感情移入できるひとがいないに等しい。
過去のことに限らず「俺には将棋しかねえんだよおおおお!」と叫べるほど、全身全霊をかけて本気で、必死で打ち込めるものもない。努力の仕方すら知らない私である、日々を懸命に生きる人々は眩しすぎて直視できない。

ただ、誰しもみな、ぶつかって、砕けて、必死にかき集めて、またぶつかって、そうやって生きているんだーーというメッセージは、そんな半端な生き方しかできない私にも響くものがありました。

そのなかで、私が好きだったキャラは林田先生。そして、二階堂。笑
染谷くん思ってた以上によかったー!w二階堂暑苦しいからなー…と思ってたけど、すんんんごく“イイヤツ”じゃーん。゚(゚´Д`゚)゚。
二人が出てくる度泣いてた笑
以前『ムーンライト』のレビューをしたときも思ったけど、救いようのない自分をどうしようもないくらいの優しさで救ってくれる誰か、という構図が泣けちゃう。
それは『ライオン』の養母たちや、本作の三姉妹のような、あたたかな無償の愛、というかたちとも少し違って。
すなわち、私が求めている優しさ、ということなのだろうか…いや、優しさというより、理解ということなのかな。

香子さんも思ってたよりよかったけど、幼少期のほうが雰囲気あったな。
もっと情緒不安定でもいい。好きじゃないけど←
宗谷名人とか後藤名人とかは、私が見たり読んだりしたなかには出てきてなかったけれど、なかなか雰囲気あったのでは。伊藤くん悪くなかった。頭悪そうだから棋士向きじゃねーなと思ってたんだけどw(強いから尚更ね。ごめんね。)
そして何より中村倫也はウミノ顔だなーwと思いながら見てました。
倉科カナもあかりさんに見えてきたし、みんな不思議とウミノ顔に見えてきたから、ビジュアルはかなり意識したんだなーという感じ。
やっぱウミノはじいさん描かせるとうまいな。w零の新人戦終了後、会長たちが握手するところよかった。笑

羽海野マンガはモノローグが命、なところがある。
しかしそれを映画でやると、テレパスみたいになるからやっぱりちょっと難しいかも。なんだか面白くなっちゃうw「えっ、心の声聞こえてるの?!」「心の声で会話してんの?!」みたいな。
ブラックアウトして文字だけ見せる、みたいな、マンガ的に視覚に訴えるシーンが差し込まれてもよかったと思うけど、あの監督じゃやらなそうかな。

何だか物音がとにかく大きくてw、ひとりでびくびくして恥ずかしかったですが、なるほど、るろ剣の刀を振る音のイメージか…(るろ剣も未見なので適当ですがw)
衣擦れの音、ひとりひとり微妙に違う駒を差す音(後藤はドシン、宗谷はパチ。、島田はパツッ、零はパチン、といった感じ)、息遣いやそういう音を大事にするところは素敵でしたが、何せ香子さんが暴れる度にびくびく…笑

あと途中、零がクリスマスの町中を走り抜けていくシーンで流れてたパーカスだけの曲?は、最近よく聞くひとなのかなあ。みんな同じ奏者なのかしら。遠藤さんのCMとか、世にも奇妙の『×(阿部サダヲのやつ)』とかでかかってたの。余談だけど、あれを聴くとパーカッションの可能性みたいなものを感じて、耳にする度どきどきするんだなあー。

そして主題歌。【酷評注意】

私はエンドロール必ず最後まで見ていくタイプなのですが、ぼくりりの歌が思ってた以上に嫌いすぎて途中退席しました。こんな経験初めて。テレビの予告で流れるくらいがちょうどいい。あんな大音量で何いってるかさっぱりわかんないような気持ち悪い歌聞かされたらほんと我慢できなかった。
(ファンの方には本当に申し訳ない)

とりあえずにゃー達がかわいかったし、名演技だったけど、もっと拝みたかった気もする!
将棋のシーンにしっかり重きを置いているから川本家のシーンが少なめ?なのは仕方ないのだけど…
代わりに、将棋知ってるひとがちゃんと楽しめる画の作りになっているんじゃないかな。
私は将棋差したことないし、ゆうたらにゃー将棋で駒の動きを覚えたくらいだから、盤面見ても全然わかりませんでしたが(;´∀`)
原作ファンや、好きな俳優さんが出てるから、だけでなく、俳優には興味ないけど将棋が好きだからって方にも観て(そして教えてw)もらいたい作品だと思いました。

(最後までお読みいただきありがとうございましたm(_ _)m)
かもめ

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