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3月のライオン 前編のdaiyuukiのレビュー・感想・評価

3月のライオン 前編(2017年製作の映画)
4.7
中学生でプロ棋士としてデビューした桐山零(神木隆之介)は、東京の下町に一人で暮らしている。
幼い頃に交通事故で家族を失い、父の友人である棋士の幸田(豊川悦司)に引き取られたが、自分のせいで幸田家に亀裂が入り、家を出るしかなかったからだ。
深い孤独を抱えてすがりつくように将棋を指し続けていたある日、零は近隣の町に住む川本家の3姉妹と出会い、彼女たちとのにぎやかな食卓に居場所を見出していく。
温かな支えを胸に、闘いへと飛び込む零。若手NO.1を決める新人戦、最高峰を決める師子王戦― それは、様々な人生を背負った棋士たちが、頭脳と肉体と精神のすべてを賭ける壮絶な闘いだった。
羽海野チカの人気コミックの映画版前編。
交通事故で両親と妹を亡くし、父の友人の棋士の幸田の家に引き取られてからは、居場所を作るため生きるために将棋で強くなろうとしたけど、そのことが奨励会でプロを目指している義理の姉の香子(有村架純)と弟の歩から夢を奪うことになってしまった、それからは孤独に将棋にすがって生きてきたが、対戦の中で自分の弱点に気づかせてくれた島田(佐々木蔵之介)や自分を生涯のライバルとして小さい頃からしのぎを削ってきた二階堂(染谷将太)たち棋士との対戦の中で成長していく桐山零。奨励会でプロを目指して将棋の腕を磨く夢も父の愛も零に奪われたと怨みながら、零に対し複雑な思いを抱く幸田香子。小さい頃から難病を抱えて、自分よりも強い零と将棋でしのぎを削ることが生き甲斐の二階堂。胃痛を抱えながら、零の第2の師匠として零を強くする島田。桐山零と棋士たちの盤の上で、魂をぶつけ合う者同士の愛や友情や絆、盤面の上では親でさえ事情を抱えた相手すら倒す将棋という勝負の修羅場が、桐山零と島田戦や島田と宗谷戦や桐山零と山崎順慶戦と己の人生や頭脳をぎりぎりまでせめぎ合う対戦の中で、丁寧に描かれている。ただ孤独な桐山零の心を癒し、居場所となる川本家の3姉妹の関係は、深く描かれていないのが物足りない。オーラを0にして桐山零に成りきっていた神木隆之介、アンチヒロインに挑戦した有村架純、懐が深く冷静な島田を演じる佐々木蔵之介、特殊メイクで二階堂を熱く演じ切った染谷将太が、印象的です。
「広く見渡して最善の道を探せ」
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