ふじこ

皆はこう呼んだ、鋼鉄ジーグのふじこのネタバレレビュー・内容・結末

3.5

このレビューはネタバレを含みます

永井豪原作の[ 鋼鉄ジーク ]を扱った作品。インスパイアなのかな…元のアニメを全く知らないからなんとも言えん。

犯罪を犯しながら生計を立てていた男エンツォ。警察から逃げている最中、汚い川に浸かってしまうが、そこには不法投棄された謎のドラム缶が沈んでおり、全身浸かって真っ黒に汚れて体調不良になってしまう。
体調も回復し、同じアパートの男と一緒に麻薬の持ち込み役から受け取りを済まそうとするも、一人が恐らく体内で破れた麻薬で死亡。その仲間の黒人は恐怖からか男から銃を奪って撃ち殺してしまう。エンツォはビルの高所から落ちたにも関わらず無傷であり、走ってその場を逃げ出す。
撃たれた傷も次の日には回復しとんでもない超パワーを身に着けており、素手でATMを引き千切って持ち帰る監視カメラの映像が大人気になる。
撃たれた男の娘アレッシアは母親を亡くしてから精神を患ってしまい、日本のアニメである"鋼鉄ジーク"に夢中であり、幼児退行したように無邪気にお姫様のドレスを欲しがったり、アニメの設定を話したり、父の死を知らない彼女はエンツォに懐く。
アレッシアの父が消えた事で、彼の所属していた組織は更にその上の組織に収める金の問題等で揉め、アレッシアの家へやってきて彼女に暴行を加える。
そこでエンツォはパーカーのフードを被り顔を隠して彼らを超パワーで粉砕、アレッシアと一緒に逃げ出す…。


ってお話。
最初は正直ずっと退屈だった。超パワーかぁ…へぇ…みたいな。正直エンツォがなんでアレッシアをそんなに庇護するのかも分からなかったんだけれども、人との関わり方が分からずにずっと一人で生きてきたエンツォにとって彼女は自分が守らなければならない人間であって、進んで自分を必要として一緒にいてくれる初めての人だったのかなぁって。
アレッシアの方は、エンツォのパワーを見て鋼鉄ジークみたい!凄い!あとパパは?って言いながらエンツォと仲良くなるんだけど、距離感がちょっとバグってるエンツォになんだか良く分からない内に抱かれて怒ったり、最後は父親が所属していたマフィアの中ボスみたいなのに盾にされて死んじゃう。可哀想な女性。
そんでマフィアの中ボスは元からちょっと頭がアレなタイプで、ATMを破壊するエンツォを見てこいつを利用したい!なんなら俺もパワー欲しい…となって突き止めたエンツォを脅して超パワーを得た川へ案内させる→そこに敵対マフィアだか上の組織だかがやってきて撃たれアレッシアを盾にするも火炎放射器みたいなので焼かれて川へ…
しかし超パワーで復活!スタジアム吹き飛ばしちゃお…ってなるも、アレッシアに影響を受けたエンツォに阻止されて死亡。こいつが一番謎。謎動機。人気者になりたかったんだっけ…?
爆弾を持ったまま2人で川に落ちて、こいつは死亡。エンツォも死んだと思われていたけれど、ラストシーンで生きていて、高所から飛び降りるカッコ良いカットで終わり。

なんだろうなあ~、アレッシアの純粋に大好きな鋼鉄ジークだ!って気持ちがちょっと裏切られちゃうのも可哀想だし、人との距離の測り方が分からないエンツォがそれでもアレッシアを大切にしたくって奮闘するところも少し悲しくて、でも確実に影響は受けていて、最後はそんな事する義理もないのに大勢の人を助けに命を懸ける。
根底にある鋼鉄ジークって作品をちゃんと知っていればもっと色々感じるところがあったのかしら…。

でも最初の方に なんだこの作品…と思っていたのがなんとなく全体に漂う少しの悲しさが好きになってきて、最後は普通にがんばれぇ!ってなってたわ。不思議な作品だった。結構すきかもしれない。
ふじこ

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