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愚行録のNinjaのネタバレレビュー・内容・結末

愚行録(2017年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

主人公は一年前の一家殺害事件を記者として追う。一方で主人公の妹、光子は3歳児の子どもを育児放棄し逮捕されてしまう。
事件の謎と、妹の抱える問題が段々と明らかになって行く。

事件の取材を受ける被害者の関係者たちには普通だがどこか嫌な印象を受ける。名門大学や一流企業に属している華やかな経歴を持つ人物たちだが、男女関係がルーズであったり、互いに貶しあったりと、どこか脛に傷を持つ。
一方で主人公の田中武志は同情を誘う不幸な生い立ちだが、妹の育児放棄問題がなければいたって平凡な男に見える。
だがどちらにせよどの人物も普通の人たちだ。

取材のはじめに被害者宅を訪れ写真を撮っていると、通りがかりの地元の人が主人公に言うには
「あんなに感じのいい家族を殺せるなんて人間の仕業じゃない。悪魔かなんかがやったんだって、そう思うと不思議と怖さがなくなるんだよね」
事件を起こすのは自分たち普通の人間とはかけ離れた悪魔が起こす、と考えたくなる。

僕は映画SE7ENのサマセット刑事のセリフを思い出しました。
「もし捕まえたジョン・ドウが本物の悪魔だったらお前も納得するだろ。だが悪魔じゃない。やつも人間だ」

人は誰しも大なり小なり愚行を犯す。
ならば聖人でも悪魔でもない僕ら普通の人にできることは何だろうか。
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