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愚行録のABBAッキオのレビュー・感想・評価

愚行録(2017年製作の映画)
3.8
 2017年石川慶監督。一家殺害事件とそれを追う週刊誌記者という構図が、彼らの歪んだ人間関係を明らかにしていく話。主人公の週刊誌記者・田中を演じる妻夫木は、「来る」同様に外面はさわやかだが内面に闇をかかえるはまり役。その妹(満島ひかり)は未婚の母となり、幼児虐待で逮捕。兄妹はもともと幼児虐待を受ける環境で育っていた。殺害された家族は、上昇志向の強い者同士。次第に掘り起こされる過去が事件の真相と現代社会のすさみを浮かび上がらせている。『凶悪』と似たテイストだが、こちらは小説が原作なためかやや図式的な流れには思う。それでも出演者の演技は説得的だし、過剰な劇伴に頼らず、静かな映像作りは好感が持てた。
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