くわ

愚行録のくわのレビュー・感想・評価

愚行録(2017年製作の映画)
4.5
【白ゆき姫殺人事件】や【怒り】の二番煎じかと思いきや、非常に鮮烈な人間ドラマが展開されていて圧倒されました。
羨望、嫉妬、優越感、劣等感、そういった感情をエッジの効いた見せ方で映し出していくところに感嘆させられます。
ありふれた人達のありふれた闇を丁度良い匙加減で描写。
だからこそ自分の中の負の要素を登場人物達を介して見せつけられるようで、砂を噛んだようなザラつく感覚に襲われます。
観終わった後には、気付きたくなかったものを見た後の気不味さが残り、鬱屈とした気分に…
しかしながら、今年観るべき一本を鑑賞した満足感の方が大きかったです。

【怒り】が如何ともしがたい感情の爆発を表現した作品であるのに対して、【愚行録】の方は抑え込んでいた感情が臨界点を超えて溢れ出す様を捉えた作品だと思いました。
人間の業を捉えた作品として、対比して鑑賞するのも良いんじゃないでしょうか。
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