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追憶のfocsmanのレビュー・感想・評価

追憶(2017年製作の映画)
3.3

過去に過ちを犯した
3人の男の子が、
25年振りに
ふとしたきっかけで出会い、
過去を見つめていく
ヒューマンドラマ、
と言ったところだろうか。


忘れることの出来ない過去。
これからの未来。
変わるものと変わらないもの。
人と人との繋がり。


この手の類は大好物なので、
他の方のレビューを気にせず
期待を持ちながら劇場へ。



序盤に関して正直に申しますと、
そこまで深くもなければ
感情移入のしづらい展開。

まず登場人物の背景が
そこまで描かれていないので
いまいちのめり込めない。

一般的で、
どこにでもいそうな
人間の本質を巧く表現
しているのだが、
「表面」しか見れていないような
気がしてならなかった。

もちろん舞台となっている、
富山の雄大な自然の美しさや
今では新鮮に思える
フィルム撮影などの古臭さが
独特の味を出していて、
その点に関しては
秀逸であったと思う。


話の内容はとても好み。
構成が私には合わなかった。
キャストにも疑問符。
ここまで豪華にしなくとも
成立したのではなかろうか。
演者さんの良さも
引き立つ内容でも無かった。




まるで曇り空の河川敷を、
ひたすら川に沿って
等間隔で歩いている印象。

砂利の道があれば、
土砂の道もあり、
草むらの茂る道もある。
彩りのある花が咲いてたり。
様々な虫が行き交ったり。
誰かが捨てたゴミが落ちていたり。
歪な水たまりがあったり。

視点を逸らせば
見る変化はあれど、
ふと隣を見れば
変わらない川の流れが、
遠くまで続いている。
傍らで何か平坦で、
永遠と同じような景色を
一定速度で見させられている、
そんな何かに縛られたかの如く
偏見で屁理屈を帯びた思考回路が
どんよりとした窮屈感を生んだ。



ブラックアウトの演出は
嫌いではないが、
起承転結の繋がりが
ブツ切りされたような
感覚になってしまい、
感情がリセットしてしまった。

起伏のある作品ではないが、
もっと濃淡があると
作品の色が出たのではないか
と感じる部分があった。

同じようなBGMが多様されるのも
脳内の場面切替がイメージしにくい
要因でもあったのではないだろうか。




ただ、終盤に連れ

人の繋がりって
どこか他人事なんだけど、
されど他人事ではない、
知ってる事もあるし
知らない事もある、
なんて言う
人間関係の絶妙なさじ加減が
この作品の薄味仕立ての
人物背景にリアリティを持たせて
引き立てられていた、とも感じた。

そう思うとこの深さが、
映画観客観点ではなく、
登場人物の第三者観点から言うと、
良い塩梅だったとも
思えてくるのであります。




今現代だからこその、
さまざまな古き佳き過去を
ピックアップした作品なのだろう。

ドラマチックな展開は無くとも、
昔から現代に伝わる
オーソドックスな
日本映画の温もりは
存分に味わえた。




一切関係ないですが、
なんだかあったか〜い日本茶が
飲みたくなった次第です。
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