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オールド・ジョイのyaekoのレビュー・感想・評価

オールド・ジョイ(2006年製作の映画)
3.8

なんでだろう、チリチリしたし、ジリジリした。
かつて少年だった2人が、森の中を歩きながら、当時の回顧録でもするのかと思っていたのに、このなんとも居心地の良くない空気感はなんだろう。

前作が最後にアレがあったから、万が一があるんじゃないかと思って、なんか最後まで気も抜けなかったしなあ、、、

ケリー・ライカート監督の映画は、わたしが想像していたものとは角度が違うって、認識を改めなきゃいけないと悟りました。
それでも全然、嫌じゃないんだよなあ。

車の両側にひしめく木々がとても静かで美しくて。
わたしも昔、祖父母の家に行く時、車の窓からよく似た景色をずっと見ていた。
安らぐようで、包み込まれるようで、でもどこか怖かった。
街の灯りが増えてくると安心した。
今思うと、わたしは人気のなさに孤独を感じていたのかもしれない。人がいすぎても嫌なくせにね。どこだったら良いと言うのだろう。
そんなことをぼんやり思い出した。

彼らの話は取り留めもなく、空中に消えていくようだった。ちゃんと言葉を受け取り合っていたのか分からない。
長年の友人なら、交わす言葉は少なくとも通ずるものがあると思うけれど、彼らの場合は?
認めたくないけれど、形が変わっていってしまうものってあるんだよなあ。

散々迷って、たくさん歩いた先の温泉はとても素敵だったけれど、
無垢で美しいものの中で、彼らの関係はどったんだったんだろう。

寂しくて切ない匂いがした。

カートの言葉が、今も響いて残っている。そしてずっと考えている。

“悲しみは使い古された喜びなのよ。”
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