菩薩

オールド・ジョイの菩薩のレビュー・感想・評価

オールド・ジョイ(2006年製作の映画)
4.2
マジでやってる事が水曜どうでしょう過ぎて(主に闘痔の旅、ヨーロッパ・リベンジ初回、マレーシア・ジャングル探検あたり)、温泉に辿り着けず道端でキャンプ始めたとこなんか、俺の頭の中では藤やんのあの野太い声で「ここをキャンプ地とする!」がこだましちゃって大変だった。テーマはきっと「分離症」なのだろうが、この作品自体も究極の癒しと極度の社会不安の二面性を持っており、秘湯を探すかつての親友二人の間にも埋めがたい溝が出来てしまっている。加えて大統領選を巡る共和党・民主党の論戦、彼等が意気揚々と秘湯を目指す一方で、ラジオからは常に深刻な社会情勢を知らせるノイズが垂れ流しとなっている。そんで肝心の秘湯なのだが、これがまた森の中の佇まいが完全にブンブン・ブラウ状態、ただし鹿は出て来ないがめちゃくちゃキモい巨大ナメクジが出て来る。秘湯に浸かり来るべき父親となる日々にでも想いを馳せているのだろうか、一方的に話すカートの言葉には一切耳を傾けずにぼんやりとした表情を浮かべ続けるマーク、ここで決定的となる断絶に心は痛むし、分かる…分かる…と俺が彼の肩を揉んでやりたいくらいだった。ライカートを何作品か観て、この人は移動と焚き火と語らいの作家なのだなと思ったが、どうなんですか有識者の方々。後はやっぱルーシーがギャンかわ、なんなら『ウェンディ&ルーシー』の時より8倍くらい可愛い。最後の最後に突き付けてくる現実がまた厳しくてちょっと凹む…。
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