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エル ELLEのcyphのレビュー・感想・評価

エル ELLE(2016年製作の映画)
3.8
ヴァーホーヴェンマラソン⑤ こんなんでよく企画書通ったな!?ていうのが第一印象 ロボコップとかショーガールとか定型路線のを観た後だから尚更、本作は「型にはめた説明のできなさ」をテーマに映画撮りましたか?てかんじでとにかく型にはめた説明のできなさがすごい 突然家に侵入してきた不審者にレイプされたあと黙々と割れた花瓶の破片を片付ける、職場で抜けと言われたらとりあえず床にゴミ箱を置いてから取りかかる、自分のポルノ動画をつくってた部下にとりあえずズボン下ろさせて割礼したペニスか確かめる、レイプ犯をクリスマスパーティーに呼ぶ、自損事故に遭ってとりあえずレイプ犯に電話する、レイプ犯に誘われた地下室に入っていく こうした尋常でない行動のどれをとってもけれどイザベル・ユペール演じるミシェルの人間性を規定するには足りなくて、特に性に奔放なわけでも向こう見ずなわけでも負けん気が強いわけでもなさそうなところが雲をつかむような話で面食らう 凶悪犯罪者の娘だから分裂症気味なんでしょう、で理解した気になるのもまた思うツボに思えるし

息子の微妙に境界知能すれすれそうなかんじや元夫や親友の旦那兼セフレのだめんずっぷりなどヴァーホーヴェン的男性観もいずれも健在 ベネデッタ役の彼女が本作で演じる熱心なクリスチャンの隣人もよかったな 女を型にはめて理解するなかれ、を徹底してる 最後の最後、いや一緒に暮らすんかーい!なシスターフッドエンドもよかった ヴァーホーヴェンの描く女は基本バイセクシャルで棒姉妹であることに寛容で男のつけ入る隙が最終的にはぜんぜんなくて、逆に女×女の関係に夢見すぎな気もするけどそのおたくっぽい開き直りが妙に爽やかでいい
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