千年女優

オクジャ okjaの千年女優のレビュー・感想・評価

オクジャ okja(2017年製作の映画)
3.5
グローバル企業ミランド社によって新種の生物を世界中の酪農家へ配布しての成長度を競うコンテストが開催され、その内の一頭で韓国の山奥で放し飼いにされ少女ミジャの友達として成長したオクジャ。記録的サイズに成長したオクジャを巡ってミランド本社と動物愛護団体をも巻き込んだ大きな騒動が勃発する様を描いたSFドラマ映画です。

前作『スノーピアサー』と同様にアメリカの制作会社や新たにNetflixまで味方に付けて制作された作品で、規模はアップしながらポン・ジュノらしいユーモアや社会風刺を始めとした多角的でユニークな作風は変わらずと、『スノーピアサー』のような明確な娯楽作でない本作を説得した監督自身にも、それを許したNetflixにも勢いを感じます。

描くテーマは『銀の匙』にも通じる食育の面もありますが、結論のない難しいものを扱っていて、食が生きる上では不可欠の行為である以上、突き詰めると死を選ぶか「腹は減る。言えることなど何もないのだ」(『レベルE』)と開き直るかしかありません。「人はパンのみにて生きるにあらず」の証明は2000年を経て尚あまりに困難な命題です。
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