チーズマン

オクジャ okjaのチーズマンのレビュー・感想・評価

オクジャ okja(2017年製作の映画)
3.8
ナイスタックル!

動物の肉を食べるということ、取り巻く産業やそれを求める消費者への結構強烈な問題提起に乗せて少女と巨大な豚の怪獣との友情を描いたハートウォーミング・アドベンチャー。
と言うと、なんか変な感じですがポン・ジュノ監督のあの独特なユーモアのおかげで正統派なんだけど変な映画でした、つまり面白かったです。

今はそこら中で安くて美味しいお肉がいつでも手軽に食べることができる、それってつまりどういうことか……。
多分その辺のことを、無意識にあまり見ないようにしてきたところでもあるので自分も含めてなんとも困った気持ちにさせられた人も結構いると思います。
巨大な豚の怪獣オクジャが人間並みに豊かな感情と知能なので特にね。

監督は肉食自体を否定したい訳ではないという風なことを言っています、監督がこの映画を作る際に観た『豚がいた教室』という邦画の中での動物を食べることへの考え方が大変興味深かったらしいですがあの映画のように自分達でそういう機会でも作らないと命を食べていること、なかなか実感できないかもしれません。
この映画序盤の少女とオクジャとおじいちゃんとの山の中の暮らしのように、本来なら生きるため食事というのはその為に時間を使う優先順位のトップの方にいくぐらい手間のかかることですからね。その気持ちはすごい分かるのに、でもそんなの急に変えられないでしょ?困った映画です。笑

肉を食べることの是非だけにとどまらず結局は消費社会そのものについてまで考えが及ばざるおえない内容を、超消費大国アメリカを舞台に描くのだから攻めてます。
そしてそこへ、ちゃんとした予算を用意でき、なおかつ監督が編集したものには決して手を加えないというNetflix製作だからできた味わいのエンタメ作品かもしれません。

まんまと、この映画の思惑どおり色々考えてしまいました。
素直に喜べないなんとも皮肉なラストは、この監督は相変わらずさすがだと思いました。
チーズマン

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