オトマイム

フランコフォニア ルーヴルの記憶のオトマイムのレビュー・感想・評価

3.7
もちろんルーブルの話でありパリの話なのだけれど、思考はロシアに始まりロシアに終わる。有名な展示品をそろっと見せられるだけでテンションは上がる。流石はルーブル*:.。.*

ナチスドイツによるパリ爆撃に備えルーブルの所蔵作品を密かに疎開させたという史実を軸に幻想が広がる。

‘西洋美術は価値があるから残せ’
‘東欧美術は価値がないから潰せ’

ナチスドイツの指示により結局ルーブルは守られエルミタージュは爆撃された。死者が渦高く積まれ煉獄と化したペテルブルクは酸鼻を極める。エルミタージュは棺桶製作所と化す。これが『エルミタージュ幻想』の棺桶部屋のシーンと繋がるところが秀逸!
西欧への強い羨望、自国の悲哀。

本作はルーブル賛歌であると同時に自国への哀悼歌でもある。多くの印象的なエピソードの中で最も深く心に刻まれたのは監督の憂愁を含んだ愛国心だった。