【2017年105作目】
ボストンで便利屋として働くリー・チャンドラー(ケイシー・アフレック)のもとに兄の訃報が入った。
実家に戻ると、16歳の甥パトリックの後見人に選ばれたと知る。
今後の事を考えるリーは不安に苛まれる。
とても静かに幕を開け、美しい映像が映し出される。
淡々とストーリーは進んでいく。
兄や幼い甥っ子と話すリーがいる。
現在のリーは不器用で、1人を好むが、あの一件がなければ、ここまで人を寄せ付けない事にならなかったかもしれない。
あの一件については、ここでは触れませんが、あんな事があったら誰だってリーの様になるかもしれません。
そんなリーが甥っ子の後見人だなんて・・・。
これは辛い!
また甥っ子が、多感な年頃で扱いに困る。
ぶつかりながらも、リーとパトリックはお互いの良い距離を保つように努める。
映画を観ている最中、はたして自分だったら、リーのように出来る?と考えた。
私には無理だ・・・。
絶対に無理だ!
リーは強いのか?
いや、違う。
何とか生きてるのだ・・・。
本当に何とか・・・。
そんなリーを観ていると、涙が溢れてくる。
リーを演じたケイシーは本作でアカデミー主演男優賞を受賞した。
納得の演技でした!
これまで彼の作品はあまり観てません。
どちらかと言うと、ケイシーよりベンのが好きなんです。
そしてベンの方が私好みの作品に出てるのです。
ケイシーって、何となく取っ付き難い印象だし、派手さもない。
少し敬遠していた俳優さんなんですが、本作はケイシーだから良かったんだと思いました。
ぶっきらぼうな態度、人との会話の時も目線を合わせないような感じ・・・もともとケイシーがこんなんじゃないの?って思わせるほどでした。
とにかく素晴らしい!
ケイシーでなければ、ここまでの成功はなかったかもしれません。
他の作品も観なくてはと思いましたよ。
映画って、時に絶望の淵にいる人を美化して描きます。
でもそれって映画であって、普通の人はそんなのじゃないんじゃないかな?
普通の人って、リーみたいに心の奥底に押し込んで、上から蓋をして、重石をたくさん積んで、でもそれを忘れられなくて、必死に生きているんだと思う・・・。
リーに幸せが訪れますようにと思い、劇場を後にしました・・・。