このレビューはネタバレを含みます
過去も現在も未来も境界はない。
生きてきた時間やあらゆる経験は
先を生きる自分自身の糧となり
そして自分自身の足枷にもなる。
いつからこんなに不器用になったんだろう
こんなはずじゃなかったのになって
自己嫌悪になって心が壊れてしまう人も
きっとそう珍しくはないと思う。
少なくとも私はその一人だ。
何も持たず裸一つで生まれてきたけど
あの身軽でまっさらな瞬間にはもう戻れない。
OPとEDの船のシーンでの②人の姿を重ねると
なんだか沁みちゃう。
歳も性格も心も距離感も
色々変わってしまったけれど
これからもきっと変わってゆくんだろうけど
それでもあの頃と同じ船に
②人並んで座っているのを見ると
変わってくものの中にある
変わらないなにかを確かに感じて
それをギュッと握りしめたくなった。
消えないように失わないように。
変わってくことばかりだからこそ
変わらないものってあまりにも美しい。
そして優しくて辛い。
「こんなもんだよな」って所に落ち着くラストは
やっぱり沁みる。
けど「こんなもんだよな」は意外と幸せなこと。