まぐらいだあ

花戦さのまぐらいだあのレビュー・感想・評価

花戦さ(2017年製作の映画)
2.8
刀ではなく花を使って戦を挑むという時代劇のプロットとしては面白い。
しかし肝心の中身がぜんぜんダメ。
120分の話も全体的にテンポが悪く、構成も緩急のつくりが悪い。
90分くらいでテンポよく進んでたら良かった。

メインの「戦」の話に行くまでで半分くらい尺を使っている。それまでは人情劇が続くが、そもそもそ人情劇がそこまで感情の起伏を表すほど描けていない。
小エピソードの積み重ねだが、個々のエピソードがラストに響いていくほどの展開があるわけではなく、エピソードが終わるごとにぶつ切りになるので、集中力が切れる。

前半で主人公である専好の性格を見せ、千利休との友情を描きつつ、利休と秀吉の確執を持ってきてと丁寧にやってはいるが、専好の感情の起伏がピークに達するシークエンスで、利休やヒロインの蓮含めて、クライマックスでカタルシスを得ようとしているが、散りばめすぎて専好の感情がどっちつかず。誰のために秀吉に戦を挑むのかというのがハッキリしていないまま、クライマックスシーンに向かうので、原作があるが、もっと焦点を絞って一点もののエピソードにしたほうが良い気がした。

野村萬斎はいつもの野村萬斎なので、専好としてのキャラクターが弱い気もする。
エンタメ時代劇なのに、終始テンポの悪さが目立つ作品だった。