あんがすざろっく

ウインド・リバーのあんがすざろっくのレビュー・感想・評価

ウインド・リバー(2017年製作の映画)
4.3
配信終了間近だったので、滑り込み鑑賞。


全ては、森が見ていた。

ネイティブ・アメリカンの居留地、ウィンドリバー。
野生動物ハンターのコリーは、雪深い雪原で少女の死体を発見する。
少女は、コリーの亡くなった娘の親友だった。
地元警察署長はFBIに捜査を依頼、新人捜査官のジェーンただ一人が派遣される。
少女に外傷やレイプされた痕跡はあるものの、直接の死因は冷気を吸い込み肺が破裂した出血と窒息死。
事件をうやむやには出来ないジェーンは、コリーや地元警察の協力を得て、真実へと迫っていく。


本作はジェレミー・"クリント"レナーと、エリザベス・"ワンダ"オルセンの共演作。

見ようと思ったきっかけは、オルセンが見たかったからですが。
確かにオルセンは非常にタフな感じがワンダとは一味違っていいです。
警察や容疑者の仲間達が銃を向け合い一触即発の場面で、オルセン演じるジェーンが、その場を必死で収めます。
これが、肝が据わってる。

でもそれよりも、コリーを演じたレナーのカッコ良さ。
今までホークアイや、MIシリーズのブラントと彼が演じてきたキャラクターを見てきましたが、本作のレナーが一番カッコイイ。
どちらかと言うと寡黙で、全ての物事から一定の距離を置き、達観しているように見えて、芯の強さを感じさせる無骨さ。
彼が喋る言葉には無駄がない。
ハードボイルドなキャラクターがピッタリ。

ネイティブ・アメリカンの女性の失跡、行方不明事件は、実際に多く発生しているようですが、人数は統計が取られていないんだそうです。
それってどういうことなんだろう。
調査もしてもらえないってことなんですかね。
監督のテイラー・シェリダンは、この問題を取り上げる為に本作を撮ったそうです。
しかも、これが監督デビュー作。
それにしては、作品の完成度が成熟しています。

それもそのはず、「ボーダーライン」の脚本を書いていたんですね‼️
確かに硬派で、ハードボイルドなタッチが通じるものがあります。

見渡す限り雪に囲われた居留地で起こる事件。
撮影も素晴らしいですね。

ここで起きた出来事は、人間では隠すことが出来ない。
森や自然が全てを見ているから。


DVD発売時に本作の製作を担当した某大物プロデューサーのセクハラ問題が発覚し、クレジットから削られたそうです。
こんなにちゃんと問題提起をしている作品をプロデュースしているっていうのに、何をやってくれてるんだ😓
確かに素晴らしい作品を沢山プロデュースしている人だけどさぁ。
作品の名前が汚れるので、クレジット削除は妥当だと思います。

意外な展開がないのが逆に素晴らしく、スタイリッシュで、痺れるようなスリラーです。


痛みから逃げちゃダメだ。
ちゃんと苦しめ。
とことん悲しむんだ。
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