砂

ウインド・リバーの砂のレビュー・感想・評価

ウインド・リバー(2017年製作の映画)
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一本の筋で終える映画であるが、ドラマや舞台背景などを書き出せば感想がまとまらなくなる。昨今のハリウッド映画も時代の問題を扱っているが、それにすら光が当たらない暗部ともいえる問題を題材にしたサスペンス。ワイオミング州の先住民保留地については何も知らなかった。いわばドン詰まりの「呪われた土地」という環境が構造的に諸般の問題を引き起こしてしまう。警察自治についても大きな事由として、そもそも事件として認知されなれけば問題として数にならない。

本作でもそういったどうしようもなさ、が真っ白な雪の中で閉塞感が漂う。ハンターである主人公のコニーは強い。過去の哀しみと怒るでもなくただただ向き合う。会話シーンにおいて自身に折り合いをつけるように相手を諭す言葉に意志の強さがあり、時に超法規的な手段も遂行し失われた開拓地で戦う現代的な西部劇の主人公のようだ。エンターテインメントとしても現代を扱った作品としても見ごたえのある一作。「ボーダーライン」などの脚本家が監督として制作した第一弾とのことだが、よくできている。あちらは観ていないので観ようと思う。
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