ぶみ

ウインド・リバーのぶみのレビュー・感想・評価

ウインド・リバー(2017年製作の映画)
4.0
テイラー・シェリダン監督、脚本、ジェレミー・レナー主演によるクライム・サスペンス。
ワイオミング州にあるネイティブアメリカンの保留地ウインド・リバーで少女の死体を発見したFWS(合衆国魚類野生生物局)の職員と、ともに捜査するFBI捜査官等の姿を描く。
主人公となるFWS職員をレナー、現地のことを何も知らずに送り込まれたFBI捜査官をエリザベス・オルセンが好演し、二人のバディものとしても楽しめる。
寒さが映像からも伝わってくる雪景色の中を物語は展開していくが、事件の真相に迫る段で銃撃戦が行われ、それまでの静寂と、そこを突如切り裂く銃声との対比が印象的。
事件の全容は、保留地に追いやられたネイティブアメリカンの闇を鋭く斬り込んだものであり、その衝撃度合いは、日本人の私では計り知れないもの。
物語が進むにつれ、真相が明らかになってくる展開はサスペンスの王道であり、エンタメ作品として十分楽しめるものだが、突きつけてくるテーマが、ズシンと重くのしかかってくる。
寒々とした雪景色の美しさに目を奪われるとともに、夜の雪山を裸足で10キロ走った少女とその家族に想いを馳せる良作。

獲物になる鹿は、不運なんじゃなく弱いんだ。
ぶみ

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