RIO

ダムネーション 天罰のRIOのレビュー・感想・評価

ダムネーション 天罰(1988年製作の映画)
4.5
タル・ベーラ作品はホントに観る甲斐がある ハッキリとしたものは掴めないのが良い

毎日が不安定で自分は1人だと感じる
それを否定することに天罰が含まれている☆
気がした

びっくりするぐらいやる気のない歌手
呑んだくれ抵抗し倒れては呑んだくれるカーレル
全てにおいて動きが最小限 役者の演技というよりはカメラの動きが演じている
それが求心的で考える余地を与えてくれてカーレルの見ている絶望を垣間見る

じっくりと流れる空間は思考の長さに等しい
気が遠くなるほどの深くて無情な何か
霧は肺から体の隅々に入り魂に取りつく

世界は爆発する時に大事なものが見えてくる
恥の意識が消えてベールは取れる
人の心を覆う幻影のベール

名もなき世界を雨が打ちつけ石塀が濡れるように人間をも打ちつける
霧も打ち落とされハンガリーの人達が肩を並べて目の前に現れる

罪の意識なく生きていく業の深さ
それを洗い流す止まない雨粒

不条理に立ちフリーズするカーレルを訪れ地上での運命の人との出逢いは美しいものだと閉じられた羽を広げるように伝えるメッセンジャーがいる
そのメッセンジャーの瞳も悲しく濡れて世界を覆う無情感を湛えてました

音楽が鳴り止んでも
この地上のリズムは律動するような大作だった
RIO

RIO