マピンターズボーン

田園に死すのマピンターズボーンのレビュー・感想・評価

田園に死す(1974年製作の映画)
3.8
【人間は記憶から解放されない限り本当に自由になることはできない】

愛情と憎悪。
人はこの相反するものを同時に持つことが可能である。
しかし自己矛盾の葛藤の中でそれはやがてストレスを産み雁字搦めにしてしまう。

寺山修司。
彼自身が産みだしたその暗く湿った虚構の赤子はどんどん私たちの心の闇を侵食していく。
あなたは母を憎んだことがあるだろうか?
思春期を体験をした人であれば誰でも共通して通るであろうその場所を彼が藻掻けばもがくほど
その棘は抜けることなく深く深く食い込んでいく。

ガロ的という言葉がわかりやすいだろうか?
つげ義春や少女椿の丸尾末広。
古屋兎丸や犬神サーカス団や東京グランギニョルの昭和日本の見世物小屋の世界をアバンギャルドにグロテスクで甘い異物を極彩色豊かなイマジネーションで魅せる。
学生服に白塗り。黒装束。壇の前で歳15の少年を犯すインパクト。

まるでホドロフスキーだよね。
これ。
そりゃ寺山修司が嫉妬するわけだよ。悔しいよね。
あれだけの才能をみせつけられると。

過去の自分と必死で向き合うけど結局この人は決別できずに田園を彷徨い続ける。
そしてそれは抑えきれなくなりやがて溢れだす。
ドプドプドプドプドプドプドプドプドプドプドプドプドプドプドプドプドプドプドプドプと。

そして逃げ出すの。でもどこに逃げる?逃げる場所なんてどこにあるの?
美化した少年時代からの脱却は彼のトラウマを生み出すだけだった。

いつまで母を否定するのだろう。彼が死んだ後も誰もその棘を抜いてくれることはないのだろう。
日本のアングラ的前衛芸術に触れたいなら通りゃんせ...

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