あきら

淵に立つのあきらのレビュー・感想・評価

淵に立つ(2016年製作の映画)
4.0
色々問題はあれど概ね衣食住整った現代日本で、古来からある仏教や神道じゃなく、現代人用にカスタマイズされた信仰宗教でもなく、あえてキリスト教に心酔するってどういうことなんだろう?

キリスト教の教義の是非とかではなくて、その宗教的特色としてね。
やっぱりどこか異質な人って気がしてしまう。
偏見かもしれないけど。

ただまぁこの作品も異質として扱ってるのよね?
殺人犯の遺族への手紙を「見せてください」なんて、普通じゃない。
旦那もおかしい。
過去にどんな負い目があったにせよ、嫁と娘が暮らす家に断りもなくおっさん連れ込む感覚がマトモじゃない。

浅野忠信の佇まいの異様さ以上に、この夫婦っつか家族?のおかしさの方が、最初から気になって気になって……
そんな中に異分子放り込んだら、案の定綻ぶ綻ぶ。そりゃ当然だわ。

過去にどういう経緯の殺人があったのか、ヤサカに妻や息子ができた経緯も描かれてないからか、ヤサカの息子ってのがまた気持ち悪い。
なんなんだこれ。

登場人物の誰もが妙な後ろ暗さを抱えてるわりには、誰もが罪悪感のピントがズレてる気がしてしょうがない。
あの夫婦の会話なんてまさに。

そして誰もがホタルに目を向けてるようで自分しか見てない。どうにもこうにも気持ち悪い。
結局あの事故はなんやったんやろうね?

キリスト教的感覚がこの身に馴染んでないから理解できないのか?
でも理解できたとして、全然スッキリしなさそう。

映画全体の得体の知れない気持ち悪さがあのくそまずそうな、なんの喜びもなさそうな冷え冷えした食事シーンそのまんまの体感で、とても疲れてしまった。
ほんとなんだこれ?

宗教ってほんとに人を救うんだろうかね?
あきら

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