10月5本目の試写会は「ソニータ」。サンダンス映画祭2016で、グランプリ&観客賞をダブル受賞したドキュメンタリーです。
幼い頃に内戦の激しいアフガニスタンを脱出し、イランで難民として暮らす少女ソニータ。彼女の夢はラッパーになることだが、突然の結婚話が持ち上がる。親がまとまった金が必要になったから、彼女を売ろうと言うのだ。
アフガニスタンでは、親が娘を金で売る。その額は、この作品中で語られる中では3000〜12000ドル。しかも結婚とは限らない。相手に妻も子もある場合もあるし、相手が老人のこともある。要するに「結婚」に名を借りた「人身売買」が未だに行われているのだ。
ソニータは、その「悪しきしきたり」をラップに乗せて訴える。彼女のアップした YouTube 映像は注目されるものの、今度はイランの法律がそれを許さない。
「女性は人前で歌を歌ってはならない」
イスラムの女性たちの、なんと虐げられていることか!
ソニータの値段は9000ドルだと言う。ソニータはフィルムを回す監督に「どうせ誰かに売られるのなら、あなたが買ってくれ!」と訴える。「これ以上彼女の人生に関わるとドキュメンタリーにならなくなる」と忠告をするスタッフ。
9000ドルと言えば、先進国の人間にとっても小さな額ではないが、人ひとりの人生を救えるとなれば大きな額ではない。
監督の下した決断とは?
劇中のPV、エンドロールのライヴでソニータの歌うラップが心にしみる。
上映は「アップリンク」のみですが、ドキュメンタリーは苦手と言う人にもぜひ見てほしい。グローバル時代と言っても、まだまだ我々は基本的人権すら共有してはいないのだから。