Yoshmon

ソニータのYoshmonのレビュー・感想・評価

ソニータ(2015年製作の映画)
4.0
まずはこちらを↓
https://youtu.be/n65w1DU8cGU

この動画を見ればホンモノ(スラムダンク用語)であることが分かるはず。

鑑賞前は半信半疑で、単なるごっこぐらいなものかと思ってたけど作中で彼女のビートにやられた。

アフガニスタンに限らず、今日でも結婚は家族間の問題とされ自由な恋愛でなくお互いの家族の話し合いにより利害が一致されたことを確認できたら結婚をする、いわゆる「取り決め婚」。

親族のほとんどがシーク教徒のシーナ・アイエンガー著”選択の科学”を読むと自由恋愛よりも取り決め婚の方が愛情は時間に比例して育まれるとの統計があると書いてあるが、それはある時代、ある文化、ある側面での事実であって、この作品が映し出す側面はまた対照的。

母親自らが兄の結婚資金(婿が嫁としたい娘の親族に金を出すのがアフガニスタンのしきたり。)を捻出するために頃合いの歳になった娘をソニータが歌っているようにまるで丸々太った家畜を売りさばくが如く、ソニータ自身の意思などまるで慮ることをしない露骨なやりとりが出てくる。

娘を売るために故郷アフガニスタンからイランへやってきた母との駆け引きがなんとも生々しく、日本で生まれ育ち欧米でも学んだ自分をソニータの立場において考えるだけで、怒りで気が狂いそう。

この作品を見て感じたのは映画の意義。

当初は歌うことすら少女に許されていないイランでラップを歌う少女の日常を追ったドキュメンタリーを作るはずが、先述の通り娘を売りたい母親の強行姿勢から彼女の人生を守り支えるためにいつの間にか映画のディレクター自身もこの作品の重要人物になっていた。

そして彼女のPVをインターネットでの公開に辿り着く。
それを見たアメリカのNPOのサポートと音楽学校の奨学金の申し入れ。
そして身元を証明するドキュメントを何一つ持たない彼女のパスポートを取得するため、イランへ戻ることが出来ないかもしれないリスクも負いつつ共にアフガニスタンへ行き…。

この映画づくりがあったから1人の少女の大きな夢を現実へ大きな一歩を踏み出すことが出来たし、
この映画の公開があったからこそ、そこからさらに新しい可能性も広がっている。

渋谷アップリンクで鑑賞後、United People代表の関根健次さんとフォトジャーナリスト安田菜津さんのトークセッション。
なんと11月にMiyaviとのコラボ新曲がiTuneで配信されるとのこと。本当は関根さん曰く日本にも招待したのだけれど例のトランプ政権のためにアメリカを出国すると再入国が出来ないため容易に来れないそう。

それはまた別問題で残念だけれど、微力ながらこれからも応援したい。
Yoshmon

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