yuki

ソニータのyukiのレビュー・感想・評価

ソニータ(2015年製作の映画)
4.5
おでこにバーコードをつけて歌うMVを、情報番組かなにかで見て存在は知っていた、ソニータという女の子。

あのMVはとても印象に残っていたけれど、この映画を見る前と後では、感じられる重みは全く違います。

あのMVは想像以上にぎりぎりの状況で撮られたもので、歌詞は想像以上に彼女たちにとって現実のものでした。
はじめは結婚させられる友人の言葉。後半はお母さんの対応に傷ついた彼女自身。

自分の人生を生きることと、ラップを歌うことが同義になっている、彼女のラップは、人の心を動かすものがあるし、彼女の夢を想像する力と粘り強さは本当にすごい。
あの環境で、彼女はなぜあんなことができたのだろうと、知りたくなります。


そして、もう一つ印象的だったのが、この映画の監督。
ソニータの状況が変わるにつれ、客観的に映画を撮る立場でいられなくなり、監督自身も迷い、ソニータの人生に関わっていく、映画の登場人物になっていきます。
そこをちゃんと撮っていたから、この映画を信頼して見られた気がしました。

単に夢を掴んだ女の子に清々しくなる映画というわけでもなくて、鑑賞後もやっとさせるものになっていたのも、誠実さを感じたところ。


あの場所から声をあげて道をきりひらいたソニータの存在には希望を感じるけれど、「売られていく女の子」の問題はまったく解決されていないし、そもそもその地域や人々に根付く文化や慣習について考えたときに「解決」ってなんだろう?という状態。

ソニータ個人の話としても、家族との関係やはどうなるのだろう、家族はどういう気持ちなのだろうという、モヤモヤは残ります。


アフガニスタンの家族や、彼女が通っていたイランのセンターのスタンスや本心。文化や国の情勢の影響。
(「どういうこと?」「本心は?」というシーンがいろいろあった)
知らないこと、知っていくべきであろうことは、まだたくさんあると感じました。
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