akrutm

ニューヨーク、愛を探してのakrutmのレビュー・感想・評価

ニューヨーク、愛を探して(2016年製作の映画)
3.0
ニューヨークを舞台に母と娘(時々、息子)の様々な関係を描いた、ポール・ダドリッジとナイジェル・レヴィの共同監督による群像劇映画。

邦題は相変わらず意味不明だが、アメリカでは母の日の直前に公開されたことからもわかるように、母親と子供(主に、娘)の愛情がテーマである。不仲だったり、疎遠だったり、母と思っていた女性が祖母だったり、実母と養母がいたりと、様々な関係が描かれるのは良いのだけれど、それぞれの関係の現状に至る背景が描かれないままにハッピーエンドに向かわれても、感情移入はできない。登場人物やその関係性をようやく把握できたと思ったら終わってしまったという感じである。群像劇はもともと好きではないが、群像劇の中でも失敗作と言えるだろう。その中でも、カメラマンとして活躍している主人公の女性がメイン・プロットを担っていて、彼女のストーリーは比較的詳しく描写されているので、この女性だけに注目して見るのが正解なのかもしれない。

出演している俳優たちは、地味に豪華である。主人公を演じているのは、脇役での活躍が多いセルマ・ブレア。相変わらず、シャロン・ストーンはセクシーさを強調した容姿で出てくる。映画の中で母とその娘を演じているスーザン・サランドンとエヴァ・アムリは本当の親子である。自分が母であることを娘に隠していた母親を演じているコートニー・コックスが『フレンズ』の頃よりも随分と老けたのが印象的。ミラ・ソルヴィノは出世作の『魅惑のアフロディーテ』の役が大人になったような役。

ちょうど同じ時に、ゲイリー・マーシャル監督の遺作となった群像劇『マザーズ・デイ』も公開されている。本作と違ってコメディではあるが、ジェニファー・アニストンのおかげもあって、この作品のほうが出来が良い。
akrutm

akrutm