李

ブレードランナー 2049の李のレビュー・感想・評価

ブレードランナー 2049(2017年製作の映画)
4.0
「時には誰かを愛するなら他人でいた方がいい」
「大義のための死は何よりも人間らしい」
「もしあなたが創られた存在なら、それは愛か計算された精確さか」

長いため意を決して遂に鑑賞。あの素晴らしい世界観を引き継ぎ、話の繋がりも◎、安心と信頼の重厚なドゥニ監督色もダダ漏れ、良い形の続編なのでは。自分の過去か移植された記憶か、曖昧な記憶の旅と創られた存在と愛が織り成すどうしようもない切なさが苦しくてとても好き。特にKとジョイの関係の描写が1番好みだった。ウォレス社の製品がどれほどまで人間に近いかは分かりかねるけど、感情がプログラムの存在の上で成り立つのは間違いないはず。誰かを愛する気持ちもきっとそう決められてるもの。ただ、ジョイがKに向ける彼を欲す言葉と表情があまりにもリアルで、彼女はAIを超え人間のように自らの感情を持っているようにも見えたり。でもその分同等に、そう思わせてしまうくらいの鮮明な虚構が存在していることを突き付けられるような寂しさがとても良かった。前者の場合は感情の読めないKへの一方通行の愛、後者の場合は逆に、Kからジョイへの一方通行の愛感があって、どちらも同時に感じられて好き。身体を持たない彼女のために娼婦を呼んで結ばれるシーンが今作で1番好きかもしれないな… 記憶創造者が誕生日パーティーが好きなのといって記憶を創って見せるシーンも、デッカードが見せる愛も、ずーっと切ない(好き) 人間とレプリカント、過去の記憶、各存在のゆらぎの部分を静かに描き、思わず考えに耽ってしまうような映像もお話も美しい作品。人とアンドロイドの線引きは答えの出ない永久の問いかもしれないですね… もし映画の世界に入れるならやっぱり私はブレードランナーが良いなー
李