Taketo

ブレードランナー 2049のTaketoのレビュー・感想・評価

ブレードランナー 2049(2017年製作の映画)
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あらすじ
ライアンゴズリング扮するKはブレードランナーでありレプリカントである。彼はサッパーというレプリカントを解任(殺し)しに行く。解任した後、サッパーの家の近くを調べると箱が埋まっており、その中にはレプリカントの骨が入っていた。そのレプリカントは胎児を出産した後に死んでしまった事が判明する。本来妊娠できないレプリカントから子供が産まれたとなると人間とレプリカントの境界線がなくなり秩序が崩壊すると考えたロビン・ライト扮するLAPDのボス、マダムはKにその子供を捜索し始末するように命令する。

作品はヴィルヌーブ節が炸裂でした。ハンスジマーの低音の効いた音楽はもちろん。Kがくり抜いた目を洗う俯瞰のカットは「ボーダーライン」のエミリーブラントが手を洗うシーンと似ています。
Kが記憶を思い出すシーンのフラッシュバックは「プリズナーズ」で誘拐された少女が犯人の元から逃げ出した時のことを供述するところに似ています。
ウォリスの周りにいる黒いばかうけ見たいのが出た時の不快な音はヴィルヌーブぽいな思いました。
あと、一緒に見た友人が言っていたのですが、KD6-3.7は3と7は足して10になり、かけると21になると言っていました。じゃKDはPhilip Kindred Dickから来てるんすかね?まぁ、そこは「メッセージ」のHANNAHという回文を思い出しました。

この予算でこの尺でここまでエンタメ性のない哲学的な話をやるのは本当に凄いなと思いました。人間らしさとは?人間はなぜ生まれるか本物とは?リアルな体験とは?という事を常に考えさせられます。それと同時に3時間近い尺というのもあり、本筋が上手く捉えきれなかったです。

上記したように本筋を上手く追えなかったのでモヤモヤしているのですが、そことは別に何者でもない僕達に与えられた、何者かもしれないという可能性。と言った普遍的なテーマがあるように思いました。
Kは作品の初めはレプリカントとしての宿命を受け入れています。サッパーが「クソな仕事」と言っている、レプリカントを解任する仕事を当然のようにこなしています。命令を無視できないとプログラムされているからかもしれないですが、自分の人生なんてこんなものだろうと思っている人を彷彿させます。
そんな彼に訪れた何者かであるかもしれない唯一の希望。つまりレプリカントから生まれた存在かもしれないという可能性への期待と、それの喪失にはどこか心を揺さぶられるものがありました。

もう一つは前作からもありますが人間らしさといったテーマですね。奴隷として生まれてきたレプリカントはそこで常に悩んでいます。Kもまたレプリカントではない何かであるかもしれないという可能性で感情が揺さぶられ出すわけですが、そこで彼は自分なりの答えを見つけるんですねぇ。

そしてゴズリングのラストの戦闘からはカッコ良すぎました。
Taketo

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