Yoshishun

ブレードランナー 2049のYoshishunのネタバレレビュー・内容・結末

ブレードランナー 2049(2017年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

82年の名作『ブレードランナー』から35年。ファンも予想だにしなかった続編の登場です。監督は『プリズナーズ』や『メッセージ』のドゥニ・ヴィルヌーヴ、製作総指揮は前作で監督を務めたリドリー・スコット。

2022年のレプリカントの大反乱"ブラックアウト"により、違法な旧型レプリカントの逃亡が発生。彼等を追う捜査官、通称《ブレードランナー》の1人であるKは、自らを新型レプリカントと認識しながら、逃亡した旧型を追い詰めていく。ところがレプリカントを製造するウォレス社への捜査を進めていくうちに、自身の存在に違和感を覚え始める。そして、過去に失踪した1人の男と出会い、彼の運命は徐々に狂い始めていく……

斬新なビジュアルと衝撃的な内容により世界的にカルトファンを生み出した傑作『ブレードランナー』の"正統派"続編。前作からの物語であるため、絶対に前作の鑑賞は必須です。人間らしさを問う哲学的なテーマのもと、美麗なビジュアルは21世紀型に進化しており、特撮チックというよりかなり現代風のSF映画にアレンジされています。その中にも前作のもつレトロな雰囲気は消えておらず、ましてやオマージュも多彩です。

人間もしくはレプリカントのような生命の誕生が本作の肝となっていまして、人間(?)とレプリカントとの間に子どもができる展開にはぶったまげましたwそれを含めてかなり衝撃的な内容になってますので、前作ファンなら驚かされること必至なんじゃないかと。

メジャー配給作品にも関わらず、一見さんお断りな姿勢には脱帽ですが、明らかに一般受けする内容ではないし、観る人を選ぶのは確かなので、北米や中国で興行的に失敗している現状はある意味成功かも。思えば前作も劇場公開時は『スター・ウォーズ』のような娯楽作を匂わせる宣伝のせいで上映打ち切りが相次いだとか。

旧キャストの再登場は大きなサプライズになっていますが、レイチェルの登場には驚きましたし、何より本人が演じているので当時のデッカードとの交流が思い出されて少し懐かしい気持ちになりました……(といっても前作見たのはこれ観る1週間前ですがw)

前作からの"デッカードはレプリカントなのか?"問題は本作で明かされると思いましたが、やはり明確な答えはでず。しかしファンの間で議論の的になるのは本作らしいし、ファンの推測によって始まった論争ですので、本作に残された謎について語り合うのも楽しいと思います。

しかし、ファンが好きに議論できるような構成になっていたのは前作でして、そこに明確に謎を提示したわけではないことがあんなにカルト的なファンを生み出した理由だと思うんです。逆に本作はただ単に謎を残しているのが残念なところ。ウォレスに関しては疑問だらけですし、レプリカントがブレードランナーとして働いていることにも明確に言及されることもないです。色々謎を残しすぎて議論のしようがないし、全て終わらせるにはまだ続編が必要になるのでは?と思います。元々4時間ものだったのを縮めて2時間43分にしたとのことですが、最初から前後編に分けた方が良かったと思います。見た後だとデッカードが登場する辺りで1回終わらせるのもアリだったと思います。あそこで止めると逆に続きが気になりますからね。

1つ1つのシーンが長く、それでも観てて飽きないのは凄いと思いますが、興味がない、前作を観てない方は特に観る理由なんてないです。俳優のファンだからという理由で観ると痛い目に遭うと思います。
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