ユタカ

ブレードランナー 2049のユタカのネタバレレビュー・内容・結末

ブレードランナー 2049(2017年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

アンドロイドも「夢なら覚めないで」と願うだろうか。

大切な思い出だけじゃなく、愛する者や自分のアイデンティティ、「肉親」がいるかもしれないという仄かな希望までもが虚像だったと知ったら、どれだけの喪失感に襲われることか。

自分を形作り支えていたすべてを無くしてしまった彼が、せめて最期に目にした美しい物。それさえもがやっぱり電気の夢だった。愛のあるはなむけの雪だったのは救いだけれど、それでもとても悲しかった。ゴズリングが漂わせる、抑えに抑えた寂しみが胸に迫る。

「メッセージ」でも印象的だったヴィルヌーヴが響かせる音と洗練された映像再び。劇場とリビングルームでは、全く違った体験になると思います。ぜひ映画館で。



時間が不可逆なものであるならば、僕たちが自分が過ごした人生だと思っているものは、基本的に頭の中に残っている記憶がすべてだ。これを無くしたら、人に教わろうが写真を見せられようが、リアルな経験としては実感できない。僕たちが主観的に認識する世界も、「彼ら」とあまり変わりがない儚いものなのかもしれない。
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