平田一

ブレードランナー 2049の平田一のネタバレレビュー・内容・結末

ブレードランナー 2049(2017年製作の映画)
4.8

このレビューはネタバレを含みます

まるで『地獄の黙示録』がブレランと遭遇して、想定外の領域にまで、運んでくれたみたいだった。それでいてブレランという映画が一度も揺るがない。完全に何度も観ないと、観なきゃならない映画でした。

カーツを殺せと命じた男が、今度はカーツの立場になって、消息記録の"死んだ息子"の代わりの誰かに救われる。マーティン・シーンのウィラード大佐を担ったのはゴズリング(何でこの人主役なのかという疑問がありました)。すべてが贋で、すべてを失い、それでも確かな何かを得た。不覚にもそんな姿に心を動かされました。

本来他と比較するのは、失礼なのかもしれませんが、今回は許してください。これ以外が浮かばずなので。

序盤の瞳のファーストカットは、猿真似みたいで好きじゃないけど、スクリーンで観た時以上に、感動に会えました(映画館で観た当時は、ただただ混乱だったので)。

ウォレス側は繁栄と盲信の狂った権化で、弱者が強者に敷かれることは当たり前だという存在(例え世界を飢饉の手から救った英雄だと言われようと)。その世界を捨ててでも、デッカードの決めたことは、非常に議論を呼ぶでしょうが、人間らしくて大好きです。だからジョーが戦うラスト、それはきっと観ている側の代弁であるでしょうし、彼には生きて娘と再会して欲しいと思いました。

"大義のための死は、何よりも人間らしい"。これは今を生きる人に、スゴく届くと思います。今世界はブレランみたいに、分断の瀬戸際ですし、その先の、誰も知らない、未来の希望が見えずです(まあそもそも先のことは、誰も分かりませんけどね)。

その中でのこの映画は、スゴく良いと思います。ボクらは未来をどうしたいか、どう生きて、終えたいか?

"旅路は過酷で当たり前、人生ならもっと"という、想像を与えてくれる、稀な映画体験でした。

あ、最後に一個。
ラヴ、スッゴくムカついたw
平田一

平田一