「フィッシュタンク」アンドレア・アーノルド監督作。
テキサスの少女が移動雑誌販売員グループの中で自分の居場所を見つけようとする物語、または少女の成長物語。ほろ苦い話だった。
社会派映画的背景をうっすら入れながらそれをあからさまに主張しすぎず自然に匂わせる、この塩梅が良い。
ショーン・ベイカー監督作にケン・ローチ監督作をマイルドにミックスしたような印象。
父の虐待から逃げたくても2人の子供の世話をしなければならず、自由も居場所もない少女スターがある日とうとうダメ母に子供を任せて家を出る。
そこで出会った放浪雑誌販売員とのちょっと変わった関係、恋愛、苦い思い。
主演は新人のサーシャ・レーン、演技が絶賛されるのも納得、ナチュラルに10代の不安と知らない世界に踏み出した喜びと痛みを演じていた。さらにジェイクを演じるシャイア・ラブーフはまたしても興味深いキャラクターを説得力ある演技で魅了。
ライリー・キーオのややビッチふうのリーダー役も良かった。
恋なのか、人間としてまたは社会のある種の学びになるのか、痛みを経た成長なのか、いろんな見方ができる、少女スターの冒険映画だったと私は思う。