ピロシキ

午後8時の訪問者のピロシキのレビュー・感想・評価

午後8時の訪問者(2016年製作の映画)
4.3
医者としての、並々ならぬ「死」に対する執着。単なる後悔から来る使命感だけでは、あんなに能動的にはなれない。

社会問題を織り交ぜながら、淡々と対象を追っていく従来のスタイルは変わらないけど、今回はいつになくストーリーが起伏に富んでいた。

誰かを助けて笑顔になったかと思えば、次の瞬間にはまた険しい現実が立ちはだかり、アップ、ダウン、アップ、ダウン。秘密を隠した少年が、脈を早める中盤から、それはどんどん顕著になっていった。

ただし、謎解きサスペンスの皮を被っているように見えても、本質がヒューマンドラマであることに変わりはない。

誰よりも他者の「死」を見つめ続けている医者であるからこそ、誰よりも強く「生」に寄り添うことができる。

「ラストシーンが良ければ全て良し」でおなじみのダルデンヌ監督の作品集に、新たな名作が加わったな、と感じています。
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